工場の暑さ対策に換気は効果ある?

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工場や倉庫の暑さ対策として、換気設備の増設や見直しを検討する企業は少なくありません。空調を新設するより費用を抑えやすく、機械や工程から出る熱を外へ逃がせるためです。

一方で、「換気扇を増やしたのに暑さが変わらない」という声も聞かれます。これは換気に効果がないという意味ではなく、換気で動かせるのは空気であり、屋根から放射される熱は空気の流れに影響されないためです。

この記事では、工場で換気が効く条件と効かない条件を熱の種類から整理し、あわせて換気では下げられない熱に対して遮熱シートが有効な理由を解説します。

工場の暑さ対策で換気が選ばれる理由

空調を増やさずに熱気を外へ出せる

工場や倉庫は天井が高く空間が広いため、空調で全体を冷やそうとすると導入費と電気代が大きくなりやすい環境です。これに対して換気は、こもった熱気を外へ排出して外気を取り込む対策であり、比較的少ない設備投資で着手しやすい点が特徴です。

炉・成形機・乾燥機・コンプレッサーなど、熱の発生源が建物の内側にある場合、換気は効果を期待しやすい対策です。粉じん・溶接ヒューム・臭気・湿気の排出も同時に担えるため、通年の作業環境改善とあわせて検討できます。

法令上も屋内作業場には換気の要件がある

屋内作業場の換気には、労働安全衛生規則にも定めがあります。第601条では、労働者を常時就業させる屋内作業場において、窓その他の開口部の直接外気に向かって開放することができる部分の面積が、常時床面積の20分の1以上になるようにしなければならないと定められています。ただし、換気が十分行われる性能を有する設備を設けたときはこの限りではありません。また第600条では、屋内作業場の気積について、設備の占める容積および床面から4メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者1人について10立方メートル以上とすることが定められています。

換気は暑さ対策としての効果を検討する前に、法令上の要件を満たしているかを確認する項目でもあります。既存の開口部が塞がれていたり、増設した設備で使えなくなっているケースは、現地調査で確認しておきましょう。

効く換気と効かない換気の違い

換気の効果が出ない場合、設備の能力ではなく空気の流れの設計に原因があることがあります。1つ目に確認したいのは、給気と排気をセットで設計できているかです。排気側の換気扇だけを増やしても、外気が入る経路がなければ空気は動きません。排気量を増やしたぶんだけ、入口となる開口部やルーバーを確保する必要があります。

2つ目は、給気口と排気口の位置関係です。両者が近すぎると、取り込んだ外気がそのまま排気され、作業エリアの空気が入れ替わりません。この状態はショートサーキットと呼ばれ、風量の数字上は換気できていても体感が変わらない原因になります。

熱気は上へ、冷たい空気は下へ動きます。したがって給気は低い位置から、排気は屋根に近い高い位置から行うと、建物全体で上向きの流れをつくりやすくなります。設備を増やす前に、現状の空気の流れを風速計などで確認しておくと設計の精度が上がります。

工場で使われる換気方法の種類

自然換気(越屋根・ルーフベンチレーター・排煙窓)

建物内外の温度差と風力で空気を動かす方法です。動力を使わないため運転費がかからず、停電時にも機能します。一方で風の強さや外気温に左右され、無風で外気温の高い日には効果が落ちやすくなります。

機械換気(有圧換気扇・ルーフファン・排気ダクト)

ファンで強制的に空気を動かす方法です。必要な風量を設計できるため天候に左右されにくい一方、給気側の計画がなければ設計どおりの風量は出ません。電気代と騒音、フィルターや羽根の清掃も運用時の検討事項になります。

局所排気(熱源のすぐ上で捕集する)

炉・乾燥機・成形機など熱の発生源が特定できる場合は、直上にフードを設けて建物内に拡散する前に捕集する方法が効率的です。熱が建物全体に広がってから換気するより、発生した場所で捕まえるほうが少ない風量で処理できます

どの方法を選ぶかは、熱源の位置や確保できる開口部によって変わります。換気量は熱負荷に基づいて設計する項目のため、機種選定の前に現地の温度分布と熱源の位置を整理しておきましょう。

換気で下がる熱・下がらない熱

換気が効くかどうかは、暑さの原因がどの熱によるものかで決まります。建物内に熱が伝わる経路は、大きく3種類に分けられます。

  • 伝導熱:壁や屋根の材料そのものを伝わって内側へ移動する熱
  • 対流熱:空気や風によって運ばれる熱
  • 輻射熱:赤外線として空間を直進し、当たったものを直接温める熱

換気が動かせるのは、このうち対流熱、つまり空気が持っている熱です。機械の排熱や外から入り込んだ熱い空気は、換気によって建物の外へ運び出せます。

これに対して輻射熱は、空気を介さずに伝わります。夏に高温になった金属屋根は、屋根裏側から下に向かって輻射熱を放射し続けます。この熱は空気の流れとは無関係に届くため、換気の風量をいくら増やしても減りません。屋根直下や最上階で「風は動いているのに暑い」と感じる場合、原因は対流熱ではなく輻射熱である可能性があります。設備を検討する前に、暑さの主因が空気にあるのか屋根にあるのかを切り分けることが、無駄な投資を避けるうえで重要です。

換気が向いている工場・換気だけでは足りない工場

換気が効きやすい工場

  • 炉・乾燥機・成形機などの設備発熱が暑さの主因になっている
  • 熱気が建物上部に滞留し、下部との温度差が大きい
  • 給気と排気の開口部を確保できる建物構造になっている
  • 粉じん・溶接ヒューム・臭気・湿気も同時に排出したい
  • 外気温が室温より明確に低い時間帯に作業がある

換気だけでは足りない工場

  • 金属屋根や折板屋根で、屋根面が直射日光を受けている
  • 天井が高く、屋根からの輻射熱が作業者に直接届いている
  • 外気温がすでに高く、外気を入れても室温が下がらない
  • 衛生管理や防虫のため、開口部を増やせない
  • 製品の品質管理上、外気やほこりを入れられない

後者に当てはまる工場では、換気を強化しても体感が変わりにくくなります。「熱を外へ出す」対策の前に、「熱を建物に入れない」対策が必要な状態だと考えられます。

換気だけでは不十分?屋根からの熱には遮熱シートも有効

屋根から入り続ける輻射熱は、換気の対象になりません。この熱に対しては、建物に入る前に反射して熱の量そのものを減らす対策が有効です。遮熱シートは、屋根下や天井裏、壁などに施工し、太陽光による輻射熱を反射して室内へ伝わるのを抑えるための資材です。

換気が「入ってきた熱を外へ出す」対策であるのに対し、遮熱シートは入ってくる熱そのものを減らす予防的な対策にあたります。入る熱の量が減れば、同じ換気設備でも処理すべき熱負荷が小さくなり、換気の効きも感じやすくなります。既存の屋根に施工できるため、建物を建て替えずに対策でき、開口部を増やせない衛生管理下の工場でも選択肢に入ります。

なお、遮熱シートと断熱材は対象とする熱の種類が異なります。断熱材は主に伝導熱の移動を抑える資材で、輻射熱を反射する遮熱シートとは役割が分かれます。

換気・遮熱シート・空調・送風の使い分け

対策 主な役割 向いているケース 注意点
換気 建物内にこもった熱気や湿気を外へ排出する 設備発熱が主因の工場、熱気が上部に滞留する建物 給気ルートがないと空気が動かない。輻射熱には効かない
遮熱シート 屋根から室内へ伝わる輻射熱を反射して抑える 金属屋根・折板屋根で屋根面が高温になる建物 暑さの原因把握と施工設計が前提になる
空調 空気を冷やして室温を直接下げる 温度管理が必要な工程、区画を仕切れる作業室 広い空間では導入費と電気代が大きくなりやすい
送風機・大型ファン 空気を動かして体感温度を下げ、滞留を防ぐ 空気がこもりやすい工場、換気の効果を高めたい場所 室温そのものは下がらない。粉じんの巻き上げに注意

換気は「熱を出す」、遮熱シートは「熱を入れない」、空調は「空気を冷やす」、送風は「空気を動かす」対策です。担う役割が違うため、どれかひとつで解決すると考えず、暑さの原因に合わせて組み合わせることが大切です。

換気設備を増やす前に確認したいチェックポイント

  • 暑さの主因は空気(設備発熱・外気流入)か、屋根からの輻射熱か
  • 給気の経路を確保できるか。排気だけを増やす計画になっていないか
  • 給気口と排気口が近すぎてショートサーキットを起こしていないか
  • 開口部の面積は労働安全衛生規則の要件を満たしているか
  • 粉じん・臭気・溶接ヒュームの排出に関する法規制を確認したか
  • 冬期の室温低下や結露への影響を検討したか
  • 設置場所の温度・湿度・WBGTを実測したか
  • フィルターや羽根の清掃を続けられる体制があるか

換気設備は設置して終わりではありません。フィルターの目詰まりや羽根への粉じん付着が進むと風量が落ち、当初の設計どおりの効果が得られにくくなります。導入時には清掃と点検の手順もあわせて決めておきましょう。

工場の暑さ対策ではWBGT管理も重要

暑さ対策の効果は、気温だけで判断できません。職場の熱中症リスクを判断する指標としては、暑さ指数(WBGT)が用いられます。WBGTは、湿度、日射や輻射などの周辺熱環境、気温の3要素に影響を受ける指標です。日常生活に関する指針では、28以上31未満が厳重警戒、31以上が危険に区分されています。

ここで注意したいのは、換気で改善が期待できるのは主に湿度と気流であり、輻射に関わる要素は換気では下がらないという点です。換気設備を増やしてもWBGTが下がりきらない場合、屋根からの輻射熱が影響している可能性があります。対策の前後で同じ場所・同じ時間帯に測定し、数値の変化を確認しましょう。

なお、2025年6月1日に施行された労働安全衛生規則の改正により、職場における熱中症対策が事業者の義務となりました。設備の対策とあわせて、報告体制の整備や休憩・水分補給のルールづくりも進めましょう。

工場の暑さ対策は「熱の種類の切り分け」から始まる

工場・倉庫の暑さ対策には、換気、局所冷却、空調、送風、人側の対策、そして建物の遮熱と複数の選択肢がありますが、それぞれが対応できる熱の種類は異なります。設備発熱による対流熱には換気が、作業者の体感には局所冷却と送風が、屋根からの輻射熱には遮熱が対応します。

対策の順序を決めるうえで最初に必要なのは、自社の暑さがどの熱によるものかを切り分けることです。屋根・天井・人の高さ・熱源周りで温度を測り、時間帯ごとの変化を記録すれば、換気を強化すべき現場なのか屋根の対策が先なのかが見えてきます。工場・倉庫の暑さ対策の考え方は、熱中症予防、暑さ指数の管理、作業効率への影響、建物ごとの対策までテーマ別に整理しています。

まとめ|換気で熱を出し、遮熱で熱を入れない

換気は、工場内にこもった熱気や湿気を外へ排出する暑さ対策です。設備発熱が主因の工場や熱気が上部に滞留している現場では効果を期待しやすく、導入時は排気量だけでなく給気の経路を確保し、ショートサーキットを避ける設計にしましょう。

一方で、換気が動かせるのは空気が持つ熱です。金属屋根から放射される輻射熱は空気の流れに影響されないため、風量を増やしても減りません。屋根直下や最上階で「風は動いているのに暑い」と感じる現場では、換気の強化だけでは体感が変わりにくくなります。

このような現場では、遮熱シートで屋根から入る輻射熱を反射し、建物に入る熱の量そのものを減らすことが暑さ対策につながります。入ってくる熱が減れば、換気や空調が処理すべき熱負荷も小さくなり、既存設備の効きを感じやすくなります。既存の屋根に施工できるため、稼働を止めにくい工場でも検討しやすい対策です。熱を入れない対策と熱を出す対策を組み合わせ、自社の暑さの原因に合った順序で進めていきましょう。

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累計400棟以上の施工実績を持つ<br>「IS遮熱シート」メーカー
         
監修株式会社石蔵商店 建材事業部
累計400棟以上の施工実績を持つ
「IS遮熱シート」メーカー
累計400棟以上の施工実績を持つ<br>「IS遮熱シート」メーカー

純度99%のアルミ素材を使用し、耐腐食性能を持つ特殊コーティングを施した「IS遮熱シート」を開発。輻射熱を97%以上反射し、沿岸部や薬品工場といった過酷な環境でも優れた耐久性と性能を発揮します。さらに、独自工法により、従来の遮熱シートで課題とされてきた結露対策も実現。これまで大規模な物流倉庫をはじめ、400棟以上にわたる多様な現場に導入(※)され、温度低下と省エネ効果が認められた実績を持っています。

(※1)2025年2月調査時点